概要
この記事は「雨夜の月」第3巻のレビューです。
本の概要
| 作者 | くずしろ先生 |
| 出版社 | 講談社 |
| 最新巻 | 8巻 |
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あらすじ
耳の不自由な奏音。奏音に惹かれる咲希。
知られたくないのに、おさえられない思い。
耳の不自由なクラスメイトの奏音に
惹かれる自分に気づいた咲希。
図らずも奏音が自分の家に泊まることになり、
彼女から将来についての話を聞かされる。
一人で生きていけるようになりたい…
どこでも誰かに頼れたらいいのに…
2つの矛盾した思いを吐露した後、
眠りについた彼女の寝顔を目の前にして、
咲希もまた相反するような知られたくないのに
おさえきれない思いに突き動かされていく。
Amazon紹介文より引用
レビュー
偏見めいた常識に囚われた贅沢
ビラ配りをしていた美容師のアシスタントに声をかけられ、咲希は髪を切りに行きます。
アシスタントの明さんは、咲希や奏音が通う女子校の出身でした。共学ではない理由を聞かれ、咲希は面倒くさい恋愛沙汰がないといいますが、明さんは女子校でも存在するとし、自身(の友達)の話をします。
同級生の女子と付き合うという咲希にとっては理想のような関係ですが、実際はそうでなかったことを聞かされます。中学の回想シーンでも、女子に視線がいきがちで、それを(咲希が好きな子本人?)に指摘され何か言われたことがトラウマになっており、それが原因で前髪で目を隠しています。
恋と自覚した相手に対し、恋人は諦め友達でいようと決めていた咲希に対して、
あの子に恋したのは間違いだなんて思わない
と伝えます。
付き合った時間は短く、傷ついたけど、女の子に恋したことは間違いでも、それを理由にためらうこともないんだよと最後に教えてくれたのだと思います。
皆が当然のようにできることを求めるのは贅沢なんかじゃないよって 世間の偏見が彼女の常識になってしまう前に
すっきりした髪になった咲希は一層かわいくなり、奏音の顔もよく見えることでしょう。
ハードルをくぐってくる
奏音のお父さんと、咲希が車の中で、奏音に聞こえないように話をしているシーンが印象的でした。
友達作りのハードルを越えるのを諦めた奏音に対して、咲希はそのハードルをくぐってきたと奏音は父に言ったそうです。
ハードルを飛んで越えるとなると、自分にせよ相手にせよ、何かしら努力して乗り越えるというイメージがあります。しかし、咲希は飛び越えるのではなく、くぐってきたのだと奏音は喩えています。
飛ぶほどの負担がなく、相手に「飛び超えてきてあげたよ」という圧や上からの目線を感じず、しかし工夫してそのハードルを越えることができた咲希をとても上手く形容されているなと感じました。奏音さんは文才やはりありますね。
余談ですが、好きな子が家で自分のことをよく話していて、それが親経由でバレてしまい、恥ずかしくなっているというシーンは私は大好物です。
好きな人とのお泊り
個人的に百合漫画好きなシーンランキングTOP3には入るやつです。
奏音が自分の部屋にいることでドキドキしまくってる咲希が可愛すぎます。一緒のベッドで寝るシーンもあり、悶えているシーンもかわいいです。
ただ、やはり「雨夜の月」だからこその心理描写もあります。最近の百合漫画だと、俗に言う「女の子同士なのに…」という部分があっても、それほど深堀りされなかったり、そもそも言及されないことが多いです。それ自体は全然良いのですが、マイノリティをテーマにした「雨夜の月」では、自分の同性愛について少なからずトラウマがありそうです。その過去の苦い経験から、奏音に恋心を絶対にバレたくないとしています。
咲希は我慢する性格も相まって、おそらく母親にもそのことは伝えておらず、協力以前に、そもそも分かってもらえてないです。だからこそ、友達だからベッドで一緒に寝ても問題ないよねと言われたときに、ひどく暗い顔をしたのでしょう。
同性が好きなことがバレるのを極端に嫌がる彼女が、今後奏音とどんな関係を築いていのか。
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